◯◯のような…

一冊の本を紹介します。
遠藤周作の「十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。」という本。
書店で見つけると二度見してしまうようなタイトル。そしてなんの本なのか全くわからない…。
ぜひ手にとってまずは十頁読んでほしいところですが、単刀直入に言うと、手紙の書き方についての本です。

なぜ今からこの本を紹介するのかというと、みなさんに手紙を書いてほしいからというわけではなく(できれば書いてほしいもののそれはまた別の機会に)、本の中に登場するちょっとしたゲームをやってみてほしいのです。

そのゲームとは「ようなゲーム」。
遠藤周作はこれをすることによって、本の読み方が変わり、さらに手紙を書きたくなるといった変化があらわれると書いています。
さてどんなゲームかというと、ある対象物に「 (     )のような」をつける、というもの。ただし、①普段よく使われる慣用句は使用せず、②その名詞にピタリとくる言葉をさがすこと。
ふむ、これが案外難しい。
ためしに一問、やってみてください。

夕暮である。大きな太陽が屋根の向うに「             」のように沈んでいく。

さぁどうでしょう。
センスと想像力が問われると思いませんか。
初めはピタリとくるものが出ないかもしれない。難しいものです。でも繰り返し、たとえば日常生活の中でふと目に入ったものに対して「ようなゲーム」をやってみてください。
次第に自分の中の表現の引き出しが増えていくような心地になります。そしてうまいこと当てはめられた!というときには言いようのない達成感と喜びがあることでしょう。お試しあれ。

ちなみにさきほどの問題、正解はありませんが、参考に知りたい!という方はぜひ本をお手にとって読むことをおすすめします。(文庫もありますよ!)

本の紹介はここまでですが、もう一つ紹介したいものがあります。
わたしはこの本をとある本屋さんへ寄贈しました(なので本の内容が少し曖昧ですがご了承ください…)。
その本屋さんとは、新潟にある「ツルハシブックス」というお店です。
名前を聞いたことがある人もいるかもしれません、普通の本屋さんとはちょっと違う変わったお店なのです。
(詳しく知りたい方は下のURLへ!)
この本屋さんには「ハックツ」というコーナーがあって、ここには大人たちが中高生に読んでほしい!と寄贈した本がたくさん並んでいるのです。
ツルハシブックスで働く友人が、わざわざ長崎に遊びに来てくれた際、ぜひ寄贈してほしい!とのことで悩んだあげく先ほどの本を寄贈したわけです。
寄贈された本にはかならず帯がまかれ、そこに中高生へ向けたメッセージを書きます。読んでほしい!の一心で書いたメッセージが、長崎から遠く離れた場所で、顔も知らない誰かがピン!ときたらしい。寄贈した本がハックツされたとのメールが後日届いたのでした。
この企画のいいところは、希望に満ち溢れた中高生に、自分の本が届くというところ。多感な時期に読んだからこそ成長できたとか、あの頃読んでいれば今の自分はちょっと違ってたかもしれないとかいった本は、これまでの人生で何度か出会いませんでしたか。
自分の本棚に入れておくのもいいけれど、誰かに読んでほしい!という気持ちがあるなら寄贈してみてはいかがでしょうか…その本は巡り巡って誰かの人生の役に立つかもしれません。

長くなりましたが、今日はここまで。
世の中には面白い本やらお店やら、たくさんあるものです。たまにまた、紹介したいと思います。
つづく。

新年度、無職

日々のこと、暮らしの中のもの

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